一方で上司は、当事者の対人的スキルと概念的スキルが不足していると感じています。
図2.1 上司が観察した不足スキル(markdownテキストへのリンク)
上司は、当事者の対人的消極性、他者視点の欠如、感情制御のスキル不足を観察しています。
〈対人的消極性:コミュニケーションが苦手〉
他の部署なのですが、そこで周囲に受け入れられなかったんですね。他者とのコミュニケーションが困難で、それが原因でいじめみたいなこともあってメンタルになってしまい、うちの部署に異動しました。(略)来訪者が来て担当不在だった場合でも、伝言を残すということができないんです。例えば、来訪者の所属とか名前を聞くとかですね。本人、する気が無いんです。
〈他者視点の欠如:特別扱いの甘え〉
周り(自分と同じ障害者)を見てると「自分も頑張らなくちゃ」と思うのかもしれない。「ここまで出来る人がいる。追いつかなくちゃ」という。で、(晴眼者の中に一人だけ)ポツンといると、それが判らないんだろうと。要は、自分で満足しちゃって「これ以上出来ません」って。自分でブレーキ掛けてるような(他社の)話も聞くので。そこがまあ、半分、甘えの部分に入って…領域に入ってきそうな感じがするんですけど。
上司は、当事者が期限に従って仕事を組織することや、複数タスクの同時処理が弱いことを観察しています。
〈期限からの逆算:段取りが下手〉
先週の木曜日なんですけど、「今日中に取引先にメールを入れて、進捗を確認しておくように」と指示しました。それにも関わらず、今日(火曜)まで、何も連絡していないんです。次の日の金曜日は私が不在でしたので、昨日(月曜)になって、「どうなってるの?」と訊いて、やっと確認しました。そうしたら相手が不在だったんです。なので「今日朝一でやっておくようにね」と言って、本人も「わかりました」と言っていたのに、今朝になって様子を見ていると、9時になっても9時半になっても、動かないんです…。プロなら、2時間あれば仕上がる仕事です。特に、日にちをまたぐタスクが、苦手なようです。
〈複数同時処理:箇条書きの習慣化〉
忘れっぽいんですよ、なぜか。忘れっぽいというか、覚えるっていう‥のが、どうなんだろう。「自分でメモをしろ」と。なので、点字で、帰る時にやることを箇条書きにさせて。帰る時に、ちゃんと指でなぞって、それを見て思い出せと。その点字を読んで思い出せって言って、今やらせてますけど。結局はその、僕たちって、視覚的情報があって、電気が点いてるなあ、電気消さなきゃっていうのが判るんだけど、本人の場合は、なんかちょっと明るいなぐらい‥でしかないので。電気が点いてる/点いてないまでの判断なんか、そもそもできません。だから、その点字のメモで、電気をちゃんと消そうとか。そういう、箇条書きとか、させてますけど。スイッチの位置は教えてますよ。「ここにあるよ」ってことは予め伝えた上でですね。