1. 段階的な俯瞰を学ぶ

1.1 段階的な俯瞰とは

一般企業では、上司から、「高くて広い視点の欠如」が、不足しているスキルとして、指摘されました。特例子会社でも、やはり上司は、「作業者レベルの視野」として、観察していました。

しかし本人は、苦手の自覚自体していませんでした。これは、問題ですね。

具体的にイメージできるように、上司の語りをご紹介します。

ここで、「ズーム」(焦点)のイメージがし易いように、石川啄木の有名な短歌を例に説明します。

東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる
とうかいの こじまのいその しらすなに われなきぬれて かにとたわむる
東の海にある、小さな島の磯の、白い砂浜の上で、私は悲しみに耐えられず、泣きながら蟹と戯れている(「東海」については、北海道や函館という説があります)

冒頭で、「東海」から「小島」、「磯」、「白砂」へと単語が示されることで、読み手は頭の中で景色をズームインする(高度を下げて個別の詳細を見る)よう導かれます。

これとは対照的に、ここで求められているのはズームアウト(俯瞰)のスキルです。
ズームアウト(俯瞰)とは、抽象度(高度)を上げて全体の関係性を見ることです。
「抽象度を上げると細かい点が見えなくなる」という、晴眼者にとっては当然で自然な知覚の訓練経験が当事者に無いため、苦手スキルとなるのです。
以上から、視覚的イメージ処理カテゴリー名は「段階的な俯瞰」としました。

1.2 教材

(1) 例題1

あなたは、自身の職場における自部門業務の効率化のために、他部門に業務フローを提案しようと考えました。
提案する前に、全社的な視点で得失を検討するシミュレーションを行います。

以下の表1.1は、シミュレーション結果の例です。

表1.1の各列のタイトルは、視点視点の具体メリットデメリットです。
行は下に行くにつれて視点の範囲を広げていきます。
タイトルの行を除き1行目は、個人的視点で、自分の得失を考えます。
2行目は、集団的視点(部内の視点)で、同僚の得失を考えます。
3行目は、集団的視点(部内の視点)で、上司の得失を考えます。
4行目は、組織的視点(社内の視点)で、自部門の得失を考えます。
5行目は、組織的視点(社内の視点)で、他部門の得失を考えます。
6行目は、全社的視点で、メリットの数(正数)とデメリットの数(負数)を書きます。

表1.1 業務効率化のための俯瞰シートの例エクセルシートへのリンク

視点 具体 メリット デメリット
個人 自分 視覚タスクが減り効率化 特に無し
部内 同僚 特に無し 特に無し
部内 上司 私に仕事を追加できる 特に無し
社内 自部門 作業能率の向上 特に無し
社内 他部門 特に無し 関係5部門で新手順の追加
全社的 +3 -1

表1.1のエクセルファイルでは、同じ視点のセル(部内と社内)は連結されています。
また、別のシートに練習用の表も入っています。

(2) 例題2

別の例題として、視点視点の具体表1.2に示します。
視点の広がりには、空間的なものの他に、時間的なものがあります。

表1.2 視点と具体の例(その2)エクセルシートへのリンク

視点 具体
個人 顧客
営業 担当
営業 上司
査定 契約時
査定 トラブル時

(3) 練習問題

新たな提案事項を考え、それについて俯瞰シートを作成しなさい。