周囲の支援を獲得できる方略(支援獲得方略)を会得し、自らも態度を変容(態度の変容)しつつ、固有の強みを発揮(上司が観察した強みの発揮)することにより、当事者は就労スキルを全体的に強化することができます。
図3.1 当事者の就労スキルの発達(markdownテキストへのリンク)
「支援獲得方略」は、「他者からのサービス」と「他者へのサービス」で構成されます。「他者からのサービス」は「タスクの委託」と「日常的・一時的サービス」が、 「他者へのサービス」は「タスクの引受」と「関係の潤滑油」があります。
「タスクの委託」:手順リストで依頼する
一連のタスクを書き出して、それを「チェックリスト」として毎日使ってたんですね。「ここまで終わったら、担当者の名前を書いていく」っていうのを。で、全部に名前が入れば、全ての作業完了ですよっていう。で、「ここまで僕、出来るところはやったので、ここから先、すいませんが、お願いします」っていう分担の仕方をして。(略)自分が「出来ないところ」で手伝ってもらったり。
「関係の潤滑油」:社交的な自分の演出
私が最も大事にしてるのは、職場の人との人間関係だと思ってて。円滑にしてれば、助けてくれます。逆に円滑にしてなかったら、孤立して。もう全く、ダメになるので。だから自分の身を守るという(笑)。あと特定の人と仲良くなるのでなくて、広く。困ったら助けて貰う。その助けて貰う先がなるべく分散できるように。(略)飲み会には全部出てます。(略)例えばお昼休みとか、みんなが休んでいる時になんかこう「わー」って盛り上がって、雑誌コーナーとかにあったら、顔出して「何してるんすかー」「ちょっと僕にも教えて下さいよー」って感じで。「自分は見えないから、教えて下さいよ」って。そういうとこの自分の障害は最大限に利用して、入口を作って。挨拶はもう必ず自分から。ひとの音が、足音が聞こえたら挨拶するようにしてて。2、3回同じ人に挨拶することもありますけど。
「態度の変容」には、「動き方」と「考え方」の2種類があります。
上司が目にした本人の頑張りには、
①「自己訓練」(高いPC処理能力、同僚の座席と日程把握)
②「受信力」(聴き方上手、関係理解による電話取り)
③「問題対処」(課題把握、問題解決)
④「自己学習」(熟練当事者探しと師事、過去成果物の読み込み)
がある。これを見ると、1つの就労スキルが、基本スキル(技術的・対人的・概念的)の組み合わせであることが判る。そして上司たちは、これらは障害に関わりなく、本人の特性や努力によるものであると考えている。
「自己訓練」:高いPC処理能力
システムでアクセシビリティの診断をしてたりしますんで。ホームページだとか。ポイントの飲み込みも含めて、そこは優秀で。技術的にもう講師もやってますから、ブラインドでパソコン打つのも。(略)弊社の中でやってるメンバーとしては、普通にメールも遅くなく。議事録も直ぐ打ちますから。
「受信力」:聴き方上手
場の雰囲気を読んだりとか、非常に得意ですね。仕事をやる上でも、「どこまでやるか」っていうレベルなんかも。周りとの状況だったり置かれてる環境の変化を感じながらっていうセンスも、持ってますね。私が「こういう事で、今これ位」っていうふうに説明した時に、腹落ちのスピードだとか納得度ってのは高いです。