8月24日水曜、つくば市のイベント「ちびっ子博士2022」に大学として参加しました[つくばちびっこ博士2022参加機関情報]。春日キャンパスでは事前にお申込み&抽選にて決定させて頂いた10組の親子の皆さんを対象として、10時・11時・13時・14時の4セッション開催しました。内容的には2種類の体験イベントを20分ずつ、合計40分~45分くらい実施し、間に消毒などの作業を入れるというスタイルです。
私はそのうちのひとつ、触覚教材体験系のイベントを担当しました。科学技術週間や小学生対象のワークショップなどでも行うことがあるのですが、模型や立体コピー、点図について一通り説明した後に、封筒で隠した立体コピーを触ってもらって、「触るだけで形を理解することの難しさ」を体験して頂きます。単に線を触れるようにするだけでは理解が難しく、事前情報や周辺情報、触っている時の解説などが大事ですよね、線などの省略の仕方も重要ですしね、…というお話です。もちろん本学の学生さんの中にも、とても触察技術があり(ある意味勘も良い)人もいたりしますが、基本的には触図を触ってもらう時はできるだけ細かく解説するようにしています。また、だからといって触図が役に立たないという意味ではなくて、何かを説明する時に触図や模型があるととても役立つことも、ちびっ子博士では同時にお伝えするようにしています。
そんな担当イベントですが、最後に立体コピー用紙に「お絵描き」をしてもらってピアフで出力してお土産にしてもらうパートがあります。つくば市のお子さんたちは非常に対応力があり、ある男の子は、受付で渡された50音の点字一覧表がデザインされた下敷きを見ながら自分の描いたキャラクターの脇に点字を添えようとしていました。下敷きには「あ~ん」の点字しか記載されていないので、彼は「か」と点字で描いた後に「伸ばす音(長音)はどう書くんですか?」と質問をしてきました。そして2・4の点だと伝えた後に手元を見ると「カービィ」の可愛い絵が….そう、次に彼が質問してくるのは「ビィ」だと予測できたのです(!)
ご存知の方も多いと思いますが、点字の拗音一覧の中には「ビィ」がありません。「ヴィ」ならありますが「カーヴィ」でも「カービー」でもなく「カービィ」です。なかなかの難問です。
イベントが終わった後に点訳チームに尋ねたところ、「かー濁ひい」というように小文字のィは通常の「イ」で表現するのが妥当ではないかというお答えでした。4・5の小文字符は利用者にあまりなじみがないということや、点字のてびき第4版23ページにあるように「原文で小文字の仮名が長音を表しているときは、長音の表し方に準じて書く」(=つまり、長音を表さない時は長音にしない)というのがその理由ということです。その他、外来語やカタカナ語について改めて学ぶ良い機会になりました。う、を長音で表すことも多い日本の点字は、表音文字と言えますが、「カービィ」の発音はどうなんでしょうね。「カービー」と発音している人が多いような気もしますが、うーん。固有名詞なので表記を重要視するならば「濁ひ小い」になっても良い気もしますけれど…そんなことを気にしなくて良い欧米点字が少し羨ましくなったりしました。