小林@筑波技大/福祉工学やら支援技術やら

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PDFのアクセシビリティ

しばらくコロナで開催されていなかった3月のWIT/AAC@筑波技大。久々に参加してきました。論文作成・発表アクセシビリティガイドラインが新しくなったということで特別企画的な講演があって、布川先生・若月先生・宮城先生などの発表を直接聞く機会に恵まれました。(苅田先生はオンラインでした)

しかしついつい気になるのがPDFのアクセシビリティ。代替テキストを実際に皆さん入れているのかどうなのか。アクセシビリティチェックをしているのか。実のところ私も日ごろ作成するPDFはかなり手を抜いてしまっています。スイマセン。予稿集の原稿などには多少気を使っているのですが、最後に代替テキストを入れ忘れて提出してしまうこともあったりします。

というのも、Wordのアクセシビリティ機能で代替テキストを図に入れても、PDFにした時点で文字化けしてしまったり、全部消えたりしてしまうのですね。結局、何か変更があってPDFにする度に「全部の図の代替テキストをAcrobat Proで入れなおす」という作業が発生してしまいます。そしてこれがかなり面倒なのです。このあたり、うまく回避する術をご存知の方に教えて頂きたいです。

プログラミング出前講座など

昨年度に引き続きR5年度もプログラミング出前講座を企画させて頂いています。3学期の実施ご希望が多く、1月末より2月中旬にかけて新潟よつば学園様・和歌山盲学校様・群馬盲学校様へ訪問させて頂きました。

新潟では科学へジャンプイン東京でも実施したバーコードワークショップを、和歌山盲さんと群馬盲さんではVBS体験、群馬盲さんの小学部の皆さんにはCodeJumperを体験して頂いたりしました。

CodeJumperは今回、3組同時に走らせるという形態で実施しました。これまでで多分最大数?だったのではないかと思います。最初Bluetooth接続がうまく行かず焦りましたが、なんとか復旧して楽しんで頂けました。

2023年秋振り返りその2

長くなってしまった秋の振り返りその2です。11月編。

サイトワールドにしゃべるダーツを展示

卒研生&Deborah先生と進めている音声化されたダーツ盤を、サイトワールドの本学ブースで11月1日と2日に展示してもらいました。残念ながら私は現地に行けなかったのですが、Deborah先生や学科の先生方にご対応頂いたおかげで来場者の皆さんにも興味を持ってもらえたようです。触れて頂いた方々、手間をかけて頂いた先生方、ありがとうございました。

筑波大の講演会イベントに参加

11月4日 土曜日、お隣筑波大学の雙峰祭にて「ChatGPT時代の就職、仕事、働き方」という講演会イベントに参加しました。クラウドワークスの吉田社長や人工知能科学センター長の櫻井先生のお話を間近で聞くことができ、とても勉強になりました。私からは本学科の卒業生の就職先実例やどのような環境で仕事をこなしているのかなどについて話しました。

土浦花火大会

同日の夜は土浦の花火大会でした。この花火大会は競技会なので様々な花火業者が競演します。せっかくの機会ということで自転車でDeborah先生と近くまで見に行ったのですが、どうやらカナダ的には「鳥とかWild aminalは驚いたりしないのか」の方が気になるようでした。そんなこと考えたこともなかったので少し反省です。後で知人から聞いたところによるとカナダでは「Fireworksがある!」と聞いて駆けつけてみると数発で終わってしまって日本人としてはかなり物足りないことがあるそうです。

そして今年は1発、空に上がらず落ちてきてしまい、地上で炸裂した事故がありました。「また中止か?」と心配しましたが、無事再開されて良かったです。

都内の私立中学生たちの見学対応

11月17日 金曜日、推薦入試の前日に都内の私立中学からの見学対応をしました。視覚障害者用の支援機器や触覚教材の体験などをしてもらいましたが、点字打刻の体験では短い説明にも関わらずきちんと裏点を理解して、自分の名前や部活についてなど、点字用紙に点筆で打つことを楽しんでいました。中学生の吸収力に感動しました。

東北大でDeborah先生の講演会を実施

ヒューマンインタフェース学会の国際交流企画という形で、Deborah先生のハイブリッド講演会が実現できました。現地参加は理事会メンバーがメインでしたが、東北大の学生さんも参加してくれて良い講演会になったと思います。

プログラミング概論でハノイの塔

この時期プログラミング概論では再帰関数の利用例として「ハノイの塔」を学びます。理解を助けるために3Dプリンタで模型を作って学生たちに渡すのですが、今年の1年生は人数が多いため前週からコツコツ作りためておきました。1セットだいたい1時間半くらいで出力するのですが、連続しては出せないので結構手間はかかります。レジンでの出力バージョンも作ってみましたがやはりFDMの方が手軽ですね。

つくば市観光基本計画の会議に参加

今年度、つくば市の観光基本計画の策定委員を務めています。11月末に第二回の会議がありました。観光課の方々が用意してくださる資料、筑波山周辺の駐車場データやホテル宿泊者の属性データなど、純粋に興味深いものが色々出てきて、勉強させて頂いています。

2023年夏振り返り

2ヶ月間ポストできていませんでしたが2023年の夏もあっという間に過ぎてしまいました。本学は他の国立大学と同様に前期が4月から15週、試験とフィードバック週も考えると8月半ばから9月末までがいわゆる「学生の夏季休暇」になります(ちなみにお隣筑波大はもともと3学期制だったのを5週ごとの春ABC/秋ABCに分けていたりするのでまた違ったりします…)。そして今年の夏は欧州研修ICCが復活。例年7月後半開催だったのが8月17日~23日とお盆明けになってしまいましたが、2023年の夏はICCでスタートしました。

ICC2023

ICC2023集合写真

リンツのヨハネス・ケプラー大学の障害学生支援センターIISと協定を結んでいることから、同センターのKlaus Miesenberger博士が主催するICC(International Camp on Communication and Computers)に2003年から参加しています。科学へジャンプ・サマーキャンプのモデルであったこのイベント、今年はチェコのテルチという都市での開催でした。テルチでは2013年にも開催されていて、当時訪れていますが、世界遺産の素敵な街並みが印象的なところです。今回は学生1名を引率しての参加でしたが、日程や価格などを検討した結果、台北経由となりました。色々と待ち時間の長いスケジュールにせざるを得ず、つくば駅から現地まで42時間かかって到着というなかなかハードな行程でした。

とはいえキャンプ自体は本当に学生にも引率教員にも刺激のある出会いや経験ができる場で、更にキャンプ後には、チェコ第二の規模を誇るマサリュク大学の障害学生支援センター、Teiresias Centerの見学や、同センター長のPetr Penaz先生にBRNOの街を案内して頂いたり、充実した滞在でした。ちなみにPenaz先生の専門は古典哲学や歴史的言語学…期せずしてモラヴィアのドイツ人とチェコ人の歴史や宗教的な変遷などのお話も伺うことができました。

ちびっ子博士

ちびっ子博士イベントの様子。右側の写真の触図セッションを担当しました。左側は宮城先生の弱視体験。

ICCから帰国した後はつくば市の企画「ちびっ子博士」。参加者は抽選で選ばれた10組×4のお子さんと保護者の方々、1セッション1時間です。障害者高等教育研究支援センターの宮城先生の行うワークショップと入れ替える形で5組ずつ30分実施しますので、同じ内容を8回繰り返す感じです。

今年はコンテンツを少し変えて、見ないで立体コピーを触れる触察体験のマテリアルを増やして、同じものを全員が触れるようにしてみました。

Deborah Fels先生来日

昨年夏のロビンソン先生に続き、今年度は9月半ばから約半年間、カナダTronto Metropolitan UniversityDeborah Fels先生をお迎えしています。

つくば市ユニバーサルデザイン研修

平成19年より毎年、本学はつくば市の職員の方への研修を実施しています。当初は複数日での実施とか、本学での実施やつくば駅周辺での実施などしたこともありましたが、ここ数年はつくば市庁舎で新人職員さんへの研修という位置づけで行なっています。

私は他の春日キャンパスの先生方数名と視覚障害体験系のワークショップを担当しています。その他、聴覚障害学生とコミュニケーションするものや、車椅子・高齢者体験キット・妊婦体験キットなどを装着して市庁舎の中を練り歩くものを天久保キャンパスの先生方や学生たちが実施しています。

担当している視覚障害体験では、弱視体験眼鏡を装着して申請書を書くというタスクをこなすのですが、最初体験した方が受付側にまわると、すごく丁寧で適切な指示になるのが毎年印象的です。あくまで疑似体験ではありますし、「疑似」の意味するところは研修中も伝えるようにはしていますが、想像力が鍛えられるというか何というか、とにかく体験してみるのは良い作用があるかと思います。

科学へジャンプ・サマーキャンプ2023

7 月15日(土)から17日(月・祝)までの二泊三日、本学にて科学へジャンプ・サマーキャンプ2023が開催されました。今回は15周年&10回目のアニバーサリー回でした。それが理由というわけでもないのですが、この機会に少し昔話を記録しておこうと思います。

思い起こせば2008年に、最初の同イベントを戸山サンライズで実施したのが15年前です。欧州のサマーキャンプICCの経験を活かせないか、と鈴木昌和先生、山口雄仁先生、渡辺哲也先生、故藤芳衛先生らから誘われ、主要メンバーに加えて頂きました。

その後2009~2011年の3年間、JSTの予算がつきました。この頃は各盲学校さんとのネットワークを強化したり、地域版がスタートしたり、じわじわと活動を広めて行った時期です。この期間の全国対象のキャンプは2010年と11年の2回でした。

そしてJSTの支援が終わった翌2012年に守谷で実施した後、さすがに毎年はスタッフが疲れてしまうな…と気づきました(ようやく…)。そこで2013はサマーキャンプを実施しない代わりにICCHPへの参加支援のみ行いました。1年お休みです。その後、2014年に第5回のキャンプを同じ守谷で実施しました。

しかし、主要メンバーの先生方が関わる国際会議のICCHPも偶数年開催のため、偶数年の夏は本当に忙しい…。そういった理由から、2015年から「奇数年での開催」とすることにしました。そして無事、2017年、2019年と連続3回、「あいち健康プラザホテル」で実施したというわけです。この頃利用した同施設は、駅からは遠いものの全てまとまっているので、視覚障害の中高生を集めるには非常に適した場所でした。

実は2022まで、とにかく会場の選定が大変だったのです。宿泊場所は4~5名が一部屋で泊まれるところ、さらにワークショップを行う会議室が近くて、食事もできて…。なかなか条件に合致する「安い」施設はありません。通常のセミナーハウスはだいたい宿泊がシングルですし、食事もビュッフェスタイルが多いのです。視覚障害の中高生を集めるにはあまり適していません。青少年自然の家のようなところは2010年に使っているのですが、他の団体との調整がかなり煩雑で入浴時間が当日まで決まらないなど、やはり困難が多かったのです。

そんな状況でしたので、「ホテルのツイン、歩いて移動」はある意味トライアルでした。しかしその結果、「意外と良いのでは」というのが実施してみての感想でした。従来の半分程度の人数でしたが、それ故参加した生徒たちは、全員の声と名前などを認識してくれたように思います。1泊2日ではありましたが、我々の方も全員の名前と顔を覚えることができました。

このように進めてきた科学へジャンプ・サマーキャンプですが、コロナのために残念ながら2021は実施できませんでした。しかしこのままズルズルとやらないでおくと皆さんから忘れられてしまう…という危機感があり、2022年の9月に「1泊で10名」という形式で実施することにしました。従来の1/3の期間、半分の人数です。既に「サマー」ではないような気もしますが、まぁ大学はまだ夏休みだから…などと言い訳をしつつ、場所は渡辺先生のお膝元、新潟となりました。さらにこの年は「ホテルで泊まって会場に移動」というスタイルを試してみました。

というわけで2023です。当初夏休みの実施を予定していましたが、私の都合がつかず、7月の連休を利用することにしました。ほぼ2週に一回程度、何度もオンラインでの委員会を重ね、エクスカーションとしてJAXAを訪れることになりました。そして富山の地域版、科学へジャンプ・イン北陸に参加しているインテックさんに協賛&ワークショップを担当して頂いたり、とても充実したイベントになりました。

詳細は後日報告書としてアップしたいと思っていますが、15周年・10回目という節目に本学で開催できたことはとても嬉しく感じています。

卒業生もボランティアで駆け付けてくれましたし、在校生も協力してくれました。小規模なイベントではありますが、無事執り行うことができたこと、ご協力いただいた皆様のお陰です。感謝いたします。

2008年当初、「何の実績もない団体が募集しても、応募してくれる生徒さんがいるかどうか…」と心配していた科学へジャンプ。今では「科学へ」と検索ボックスに入れると「ジャンプ」まで補完してくれるようになりました。本当に驚きです。今後も、なんとか細く長く続けていけたらなぁと願っております。

(検索ボックスの件、自分の環境だけなのかな…と疑う時もあるのですが、そうでもないです….よね?)

Windows11のバッテリーアイコンの違いが見分けにくい

タイトルそのまんまの内容です。Windows11のタスクバー右端、通知領域(って言うんでしたっけ)のバッテリーアイコン、充電時は図の左側のように稲妻マークが添えられます。一方、バッテリーが減ってエコモードのような状態になると右側のように葉っぱマークが添えられます。コレ、ものすごく小さくて老眼の進んだ私にはなんだか見分けがつきにくい。

そしてだいたい葉っぱマークがついた時はバッテリーが減っているので、急いでACアダプタとかつなぐわけです。しかし「ちゃんと給電されているのか」がぱっと見分かりにくい…結局マウスオーバーで「充電中」とか出したりしています。もっとこう、充電中なのが分かりやすいベタなアイコンにして欲しいと思ったりしています。

ハイレナイ トコロ

前から気になっているのですが、トイレ前の触図の凡例にある「入れない所」もしくは「入れない場所」について。どこで誰が決めた表現なのか興味があります。JISの例で「非通行部分」となっているのは読んだことがあります(「JIS規格として発行される触知案内図表示法の概要について」)が、「ハイレナイトコロ」と書かれると何ともモヤモヤ。

確かに入れないところではあるのですが、柱や壁に対して言われると少し違和感…そもそも入ろうとはしていないし…いや、ホグワーツへの道かもしれませんが…

トイレ前触図全体図

写真は近くのショッピングモールのトイレ前触図です。

さて、本題の凡例を見てみますと:

小便器とサニタリーボックスの凡例。点字はそれぞれ「しょーべんき」と「はいれない ところ」

小便器は「しょーべんき」ですが、サニタリーボックスが「はいれない ところ」になっています。ちなみにサニタリーボックスは墨字で黒い丸で表していて、個室にいくつか設置してあるところと設置していないところがあります。見える人は事前にサニタリーボックスのある個室が分かるようになっていますが、触図にはサニタリーボックスを表す突起はなくて、代わりに「はいれない ところ」を示すドットパターンが示されているというわけです。このあたり、情報保障的には同じ情報ではないという点も考えさせられますが、個人的に気になっているのはこの「はいれない ところ」という表現です。いつ頃どのようにして決まったのか知りたい…

左上の凡例。現在地と洋式、手洗いなど。
最初にあるのは「トイレごあんない」

続いて左上を見てみると「トイレMAP」の下には「といれ ごあんない」とあります。洋式トイレは墨字が「洋式」だけですが点字は「よーしき べんき」となっていて「小便器」との対応が取れている印象です。手洗いはそのまま「てあらい」ですね。手洗いや小便器は、下が壁側になるような凡例となっていました。最後に「たもくてき といれには、たもくてき しーとが あります。」と書かれていました。一瞬何が言いたいのか悩みますが「多目的シート」の意味を知っていれば重要な情報です。


多分サン工芸さんの触図だと思いますが、最近は現在地が分かりやすいように少し高い突起の半球になっていることが多いですね。このトイレMAPは「はんれい」のすぐ下に「げんざいち」があり、更に「『ずの ひだり した』」という説明も加わっているため現在地を探しやすくなっています。

ただ、細かい点ですが墨字だと凡例が「現在地」、地図表示が「現在位置」になっているのはちょっと気になりました。そしてこの写真では肝心の現在位置表示の半球が抜けちゃっているのが一番問題だったり…(-_-;

速やかにインフォメーションセンターに連絡しておきましたが、直してくれるでしょうか。

一方、卒業生にこの話をしたら「あまりトイレの前の触図は触りたくないので(よく知りません)…」という答えが返ってきました。ううむ。不特定多数が触る可能性のある公共施設での触図、スマホのようなパーソナルデバイスでうまく解決できる枠組みがあると嬉しいですね。

What time is it ?

先週、久々に東北新幹線で出張してきました。写真は上野駅の待合室にある電光掲示板です。

待合室の電光掲示板、出発する各列車の時刻が表示されています。

上越・北陸新幹線と東北系新幹線、それぞれの出発時刻順に各列車の情報が並べられているのですが…そう、「今何時」なのかこのパネルだけでは分からない、つまり出発までの時間的余裕がすぐに分からないのです。やはり真ん中に時計が欲しいような気がします。

…と思って左の壁を見ると、お。デジタル時計がありました。しかし…

デジタル時計。かなり表示が見にくいのです。

どこのセグメントが光っているのかすぐには分かりませんでした(-_-;


鉄道はあまり詳しくありませんが、日本では、地下鉄や路面電車など比較的本数の多い交通機関においても「次の出発時刻(って言うんでしょうか)」や「次の次の出発時刻」が表示されていると思います。しかしこの方法だと時間的な余裕を知るために「現在時刻を確認して、引き算する」という多少負荷のかかる作業をしなくてはいけません。スマホを取り出すのに苦労するような方もいらっしゃるでしょうし。一方、欧州のメトロや路面電車では次の車両が「到着するまでの時間」が表示されていることが多いような気がします。

それは時間に正確な運行が行われていないから、という見方もありますが、現場で現在時刻を確認しなくても次のプランが考えられる欧州式は、それなりに便利です。インタフェースとしてどちらが良いのかはどこかで議論されているのでしょうか。興味あります。なぜ日本は時刻表示になったのかとか。


今年の春あたりJRが順次時計を撤去しているというニュースを読んだ記憶があります。腕時計をしない人も増えてきたので、スマホが手元になかったりバッテリー切れになっていたりすると、ホームでキョロキョロする羽目になるかもしれません。

いや、多少遅れてもスマホで連絡するので「あまり時間を気にしない人が増える」のかも。

「国内の視覚障害者31万人」

昔から工学系の視覚障害者支援に関する文献を読んでいると目にする「国内の視覚障害者は約31万人~」というフレーズ。厚労省統計(身体障害児・者実態調査)をリファーしつつ「はじめに」などで触れるわけですが、自分もそうしていた記憶があります。

平成13年、18年と5年毎に行われるこの調査、平成23年からは「生活のしづらさなどに関する調査」という名称になりました。平成28年の次は令和3年の予定でしたが、コロナのせいで延期になって今年実施されているのですね。知りませんでした。気になる調査結果は当然ながら厚労省のページで公開されています。

さて、この「視覚障害者数~」について、ここで書いておきたいことは、その「年齢構成」です。分かっている人は今更何を、とおっしゃられると思います。しかし、あまり意識せずにシンポジウム予稿やら研究会予稿やら書いている学生さんがいるような気がします。発表会場で学生さんたちに聞いてみると「知りませんでした」という声が多いです。確認するのは簡単で、上記ホームページからダウンロードできるPDF、9ページに「第6表 身体障害者手帳所持者数、年齢階級別(年次推移)」があるのでそれを見るだけです。視覚障害の行を取り出してみますと:

総数0-910-1718-1920-2930-3940-4950-5960-6465-6970-不詳
3121488182925401755
視覚障害の手帳所持者数(千人)

…とこんな感じです。単位は千人なので、総数は31万2千人、確かに約31万人です。そして、65歳以上で21万5千人、ほぼ2/3を占めることも分かります。もちろん若年層も存在していますし、福祉工学の意義として、困っていらっしゃる人たちを支援するという立場に絶対数は関係してこないこともあります。しかし、全体的な傾向を知っているかいないかによって「国内の視覚障害者は約31万人おり~」と書いたり言ったりする時のニュアンスが異なってくると思うのです。自分も若い頃はあまり気にしていなかったので、今の学生さんたちには是非、こういった数字の出どころと、そのソースから読み取ることのできる内容について、よく考えて欲しいなぁ、と思っています。

同様のフレーズに「視覚は8割」があったりしますが、こちらについては先日本学を退職された加藤先生が書いたテクノレポートが人気なようです。
http://altmetrics.ceek.jp/article/hdl.handle.net/10460/1607

3年ぶり、お台場SIGACI対面開催

7日水曜・8日木曜にHI学会アクセシブル・インタフェース研究会(SIGACI)の恒例12月イベントが、3年ぶりの対面ベースのハイブリッドで開催されました。2020年のコロナ直撃の後、「まぁ冬には収まるだろう」などと高を括っていましたが、バタバタとオンラインの波に飲まれて行き、2020年12月、2021年3月・12月とオンライン開催が続くことに…。

そしてようやく今年3月にハイブリッドでの実施、そして12月の研究会もなんとか無事に対面ベースで行うことができました。コロナの中、委員長をバトンタッチさせて頂いた工学院の田中先生、連催WITの産総研・細野様、情報保障担当の本学河野先生、Web担当の兵庫県立大・山添先生、いつも会場手配頂く産総研・関様、関係者の皆様ありがとうございました。

写真は会場の産総研臨海副都心センター11階からの景色。3年前と変わらずフジテレビ・レインボーブリッジ・東京タワー、そしてユニコーンガンダムという組み合わせが一望できます。

更に何より驚いたのは、日本科学未来館側の道路で毎回お世話になっていたカレーのキッチンカー(フードトラック)がまだ来ていたこと。「カレーのお鍋の上で小銭のやりとりをする」というスリルを、今年も味わうことができました。

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