少し前になりますが、1セッションだけ座長を依頼されたDEIMSに参加してきました。DEIMSは理数系のアクセシビリティを扱う会議で、科学へジャンプでもお世話になっている鈴木昌和先生や山口雄仁先生たちが主催しているものになります。

DEIMSは、主に視覚障害者のための理数系トピックを扱う研究者たちが一同に会する貴重な機会でもあります。PDFアクセシビリティに関する発表なども興味深かったのですが、数式はやはりTeX表現を使うとか、8点点字による表現とか、色々と情報を得ることができたのが収穫でした。

振り返って日本の状況を考えてみると、多分、中高における数学教育では盲学校さん・視覚特別支援学校さんも含めあまり積極的にコンピュータを使うことがないのではと思います(各生徒個人のコンピュータ環境という意味で)。紙と鉛筆、点字での学習はとても大事ですが、大学に入学して初めてコンピュータで数学教材に触れるとなると、TeXの表現は馴染みがないと思われます。悩ましいところです。

以前、フーリエ変換の教材用ページの数式部分を、TeXで書いていたところ、学生さんに聞いてみると分かりにくいというフィードバックがありました。そこで結局、数式は画像配置にしてAltタグで細かく説明するという方法に変えました。日本語は2バイトコードで「√」「Σ」「∫」などがあり、それなりにスクリーンリーダーでも読みます。晴眼の教員と全盲の学生さんとの間でテキストデータを用いた共通理解がしやすい環境であるともいえます。反面、より高度な数式を扱ったり、学生さん自身が書くという面からはTeXの習得が必須でしょう。高校生が全員数学者を目指すわけではないので(どちらかというととても少数派でしょう)バランスが難しいですね。

さて、DEIMSでは会議終了後、Short Tokyo Tourということで神田明神や明治神宮を歩いて回りました。実は明治神宮に入るのは初めて(多分)で、英語で説明するために色々その場で調べてこれまた勉強になりました…