小林@筑波技大/福祉工学やら支援技術やら

月: 2022年12月

Tune ECU

先日かなり久しぶりにStreet Tripleで出かけて帰宅したら、オイル警告灯が点いてスターターが回らなくなってしまいました。出先ではなくて良かった…と思いつつ、少しオイルを補充して回復。しかし数日後、やはりスターターが動きません。リレーかソレノイドか…と考えながら久々にECUケーブルをOSBコネクタにつないでTune ECUを起動。手元のものは6年前に落としてきたVer.2.5.8ですが、ちゃんとWin10で動きました。

Tune ECUのウィンドウ

当時購入したノーブランドのECUケーブルは、デバイスドライバ的には自動認識して仮想COMポートになります。なのでてっきりCOM指定かと思いきや、USB指定で通信が確立しました。結果的には何のエラーも出なかったので、単にバッテリーが弱っていただけと判明。最近乗る機会がめっきり減ってしまったのが良くないのですね。

いずれにせよ久々にTune ECUの動作確認ができて良かったです。特にマップをいじるとかマニアックなことはやりませんが、自分でエラーの種類を特定できるのは便利。6年前はO2センサ異常が分かったので交換できました。

さてそのTuneECUですが、サイトに行ってみると現行バージョンは5.6.37。しかもAndroid用の有料アプリになっていました。時代ですねぇ。先日(25年ぶりに!)買い替えた冷蔵庫も、製氷用の水がなくなったらスマホアプリで分かるらしいし、色々なハードウェア関連の情報に一般ユーザがスマホでアクセスできる世の中のようです。そこから「音声化」もできるのではと夢は膨らみますね。

以前家電協会さんに協力したアンケートでも、学生たちからは「スマホで家電がコントロールできるならば助かる」という声が多かったです。エアコンのリモコンなどに苦労していた様子。プロトコルがオープンならば作れそうですが、赤外線インタフェースのハードウェア入手がネックですね。今はNature remoみたいなスマート化デバイスの役目かもしれません。

What time is it ?

先週、久々に東北新幹線で出張してきました。写真は上野駅の待合室にある電光掲示板です。

待合室の電光掲示板、出発する各列車の時刻が表示されています。

上越・北陸新幹線と東北系新幹線、それぞれの出発時刻順に各列車の情報が並べられているのですが…そう、「今何時」なのかこのパネルだけでは分からない、つまり出発までの時間的余裕がすぐに分からないのです。やはり真ん中に時計が欲しいような気がします。

…と思って左の壁を見ると、お。デジタル時計がありました。しかし…

デジタル時計。かなり表示が見にくいのです。

どこのセグメントが光っているのかすぐには分かりませんでした(-_-;


鉄道はあまり詳しくありませんが、日本では、地下鉄や路面電車など比較的本数の多い交通機関においても「次の出発時刻(って言うんでしょうか)」や「次の次の出発時刻」が表示されていると思います。しかしこの方法だと時間的な余裕を知るために「現在時刻を確認して、引き算する」という多少負荷のかかる作業をしなくてはいけません。スマホを取り出すのに苦労するような方もいらっしゃるでしょうし。一方、欧州のメトロや路面電車では次の車両が「到着するまでの時間」が表示されていることが多いような気がします。

それは時間に正確な運行が行われていないから、という見方もありますが、現場で現在時刻を確認しなくても次のプランが考えられる欧州式は、それなりに便利です。インタフェースとしてどちらが良いのかはどこかで議論されているのでしょうか。興味あります。なぜ日本は時刻表示になったのかとか。


今年の春あたりJRが順次時計を撤去しているというニュースを読んだ記憶があります。腕時計をしない人も増えてきたので、スマホが手元になかったりバッテリー切れになっていたりすると、ホームでキョロキョロする羽目になるかもしれません。

いや、多少遅れてもスマホで連絡するので「あまり時間を気にしない人が増える」のかも。

「国内の視覚障害者31万人」

昔から工学系の視覚障害者支援に関する文献を読んでいると目にする「国内の視覚障害者は約31万人~」というフレーズ。厚労省統計(身体障害児・者実態調査)をリファーしつつ「はじめに」などで触れるわけですが、自分もそうしていた記憶があります。

平成13年、18年と5年毎に行われるこの調査、平成23年からは「生活のしづらさなどに関する調査」という名称になりました。平成28年の次は令和3年の予定でしたが、コロナのせいで延期になって今年実施されているのですね。知りませんでした。気になる調査結果は当然ながら厚労省のページで公開されています。

さて、この「視覚障害者数~」について、ここで書いておきたいことは、その「年齢構成」です。分かっている人は今更何を、とおっしゃられると思います。しかし、あまり意識せずにシンポジウム予稿やら研究会予稿やら書いている学生さんがいるような気がします。発表会場で学生さんたちに聞いてみると「知りませんでした」という声が多いです。確認するのは簡単で、上記ホームページからダウンロードできるPDF、9ページに「第6表 身体障害者手帳所持者数、年齢階級別(年次推移)」があるのでそれを見るだけです。視覚障害の行を取り出してみますと:

総数0-910-1718-1920-2930-3940-4950-5960-6465-6970-不詳
3121488182925401755
視覚障害の手帳所持者数(千人)

…とこんな感じです。単位は千人なので、総数は31万2千人、確かに約31万人です。そして、65歳以上で21万5千人、ほぼ2/3を占めることも分かります。もちろん若年層も存在していますし、福祉工学の意義として、困っていらっしゃる人たちを支援するという立場に絶対数は関係してこないこともあります。しかし、全体的な傾向を知っているかいないかによって「国内の視覚障害者は約31万人おり~」と書いたり言ったりする時のニュアンスが異なってくると思うのです。自分も若い頃はあまり気にしていなかったので、今の学生さんたちには是非、こういった数字の出どころと、そのソースから読み取ることのできる内容について、よく考えて欲しいなぁ、と思っています。

同様のフレーズに「視覚は8割」があったりしますが、こちらについては先日本学を退職された加藤先生が書いたテクノレポートが人気なようです。
http://altmetrics.ceek.jp/article/hdl.handle.net/10460/1607

3年ぶり、お台場SIGACI対面開催

7日水曜・8日木曜にHI学会アクセシブル・インタフェース研究会(SIGACI)の恒例12月イベントが、3年ぶりの対面ベースのハイブリッドで開催されました。2020年のコロナ直撃の後、「まぁ冬には収まるだろう」などと高を括っていましたが、バタバタとオンラインの波に飲まれて行き、2020年12月、2021年3月・12月とオンライン開催が続くことに…。

そしてようやく今年3月にハイブリッドでの実施、そして12月の研究会もなんとか無事に対面ベースで行うことができました。コロナの中、委員長をバトンタッチさせて頂いた工学院の田中先生、連催WITの産総研・細野様、情報保障担当の本学河野先生、Web担当の兵庫県立大・山添先生、いつも会場手配頂く産総研・関様、関係者の皆様ありがとうございました。

写真は会場の産総研臨海副都心センター11階からの景色。3年前と変わらずフジテレビ・レインボーブリッジ・東京タワー、そしてユニコーンガンダムという組み合わせが一望できます。

更に何より驚いたのは、日本科学未来館側の道路で毎回お世話になっていたカレーのキッチンカー(フードトラック)がまだ来ていたこと。「カレーのお鍋の上で小銭のやりとりをする」というスリルを、今年も味わうことができました。