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小林@筑波技大/福祉工学やら支援技術やら

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ICCHP24終了、リンツにて改めて知ったことなど

General Chairを務めさせて頂いたICCHP24も無事終わりました。正確な値ではありませんが42か国以上から学会スタッフ含めて370人程度の参加者、と耳にしました。お陰様で日本からの参加者も比較的多く、本学関係者の発表も院生2名を含んで9件と、多めの年になったかと思います。ご参加いただいた皆様ありがとうございました。

さて、Linzへの訪問は2001年に新潟大の渡辺先生と訪れたのが最初ですが、その後2002,2006,2008,2012,2016,2018にICCHPで来ていますので今回で8回目。私にとっては回数的に一番多く訪れている海外都市になります。そんな何回も訪れているオーストリアですが、恥ずかしながら今回初めて知ったことも多かったので学会とはほぼ関係のないネタなのですが、書き記しておきたいと思います。

高速道路は有料。

ここのところリンツでのICCHPが終わった後はKlaus先生がご自宅に招いてくださいます。その際の移動に高速道路に乗りますが、ゲートなどもないのでてっきりオーストリアはドイツの普通車と同様に無料なのだと思っていました。しかし聞いてみると無料ではなく年間いくら、という料金を支払っているとのこと。チェックはカメラでナンバープレートを読み込むことで行なわれているそうです。高速道路をたまに使う、というドライバーの場合はマンスリーパスやウィークリーパスなどをオンラインで購入するという話でした。

ナンバープレートは個人に属する。

高速道路料金にも関係するのですが、ナンバープレートは1人1枚、ドライバーに対応しているということです。これは全く予想していませんでした。どういうことかというと、車を2台持っている場合、ナンバーを付け替えて運転するのです…。一人で2台持っている場合、1台目を利用中に2台目を誰かに貸すということはできません。というか、2台目を人に貸した場合には借りた人が自分のナンバープレートをつけるのですね。「日本ではナンバー外したら犯罪」と言ったら笑っていました。

ちなみにリンツを走っている車のナンバーは英文字、数字、英文字と続いているのですが。最初の英文字1つか2つは「都市コード」になっています。

母親と同じ名前を子供につけるのはそんなに珍しくない。

ふと話題に出た「母娘が同じ名前」。これややこしくないんでしょうか。不思議です。3世代同じ名前とかもあるそうで。しかし自分の経験上、「Young〇〇/Old〇〇」となるのが必至なので、それが嫌で(=自分がold側になるのが嫌なので)断ち切った、というお話も聞いたりしました。

山や丘の上に小さな教会があると、道中12か所のお祈りポイントがある。

すいません、常識なのかもしれませんが知りませんでした。全く宗教に詳しくないのでうまく説明できないのですが、小高い丘の上に教会やモニュメント的なものがある場合、そこに至る道中に12箇所の碑が設置されていることが多い…ようです。しかしキリスト教を始め宗教的な文化は何度聞いても忘れます。大聖堂の司教やら教区やら、そういった知識も毎回検索しては忘れ、を繰り返しています…


写真は2008年から参加させて頂いているYRC(Young Researchers Consortium)での集合写真です。若手育成にちゃんと力を入れているのもICCHPの素晴らしいところだと思っています。今回はフランスが多かったのですが、ハンガリー、カナダ、ドイツ(スペイン人)、ポーランド、日本などから11名の若手が参加してくれました。フランス人の学生は、2018年に参加していた学生が先生になって間接的に面倒を見ている学生ということで、うまく循環していることを実感しました。

WordからのPDF作成

先日のエントリ(PDFのアクセシビリティ)に関連して、SIGACIのエリアに「アクセシブルな原稿作成について」というページを作ってみました。かなり今更感はあるうえに情報不足なところは否めませんが、HIシンポジウムの原稿提出の際にちょっと覗いてもらえたらと思っています。

結局Acrobat Pro買わないと完成させられないという結論…悩ましい。そして学生たちに聞くとやはり「読むだけならHTMLかマークダウン、書き込みたい場合はテキストファイルですかね~。」PDF不人気ですね…

R6年度春

今年度の4月もバタバタと過ぎていってしまいました。年度が変わって少し仕事も増えましたが、個人的にショックだったのは大西先生のラジオ英会話の時間が変わってしまって通勤時間に聞けなくなったことでしょうか。半年間滞在されていたデボラ先生も帰国されて、英語に触れる機会が少し減った春でした。代わりというわけではありませんが、欧州研修参加希望の学生さんたちのボキャブラリー増強に付き合ってターゲットやらコーパスやらこねくりまわす毎日です。

重度の視覚障害のある学生さんの場合、晴眼者が行う「見ながら聞く」という学習が難しい場合があります。例えば「知っている単語で聞き取れないだけ」なのか「もともと知らない単語」なのか音だけで判断するのが難しい。さらに、スペルも分かりませんから辞書が引けません。スクリプトが最初から用意されている教材を使うというのももちろん手法としてはありなのですが、それでも「今分からなかった単語」を調べるのにはかなりの労力を要します。見えている人の場合は再生を一時停止して、画面などの文字情報を書きとったり電子辞書やインターネットですぐ調べたり、ということができますが、音だけで学習していると聞き取れなかった/分からなかった部分の特定にも時間がかかってしまうのです。以前、そのあたりをどうにかしようと取り組んだこともあったのですが、今年の卒論学生さんに進めてもらおうかと考えています。

PDFのアクセシビリティ

しばらくコロナで開催されていなかった3月のWIT/AAC@筑波技大。久々に参加してきました。論文作成・発表アクセシビリティガイドラインが新しくなったということで特別企画的な講演があって、布川先生・若月先生・宮城先生などの発表を直接聞く機会に恵まれました。(苅田先生はオンラインでした)

しかしついつい気になるのがPDFのアクセシビリティ。代替テキストを実際に皆さん入れているのかどうなのか。アクセシビリティチェックをしているのか。実のところ私も日ごろ作成するPDFはかなり手を抜いてしまっています。スイマセン。予稿集の原稿などには多少気を使っているのですが、最後に代替テキストを入れ忘れて提出してしまうこともあったりします。

というのも、Wordのアクセシビリティ機能で代替テキストを図に入れても、PDFにした時点で文字化けしてしまったり、全部消えたりしてしまうのですね。結局、何か変更があってPDFにする度に「全部の図の代替テキストをAcrobat Proで入れなおす」という作業が発生してしまいます。そしてこれがかなり面倒なのです。このあたり、うまく回避する術をご存知の方に教えて頂きたいです。

DEIMS2024

少し前になりますが、1セッションだけ座長を依頼されたDEIMSに参加してきました。DEIMSは理数系のアクセシビリティを扱う会議で、科学へジャンプでもお世話になっている鈴木昌和先生や山口雄仁先生たちが主催しているものになります。

DEIMSは、主に視覚障害者のための理数系トピックを扱う研究者たちが一同に会する貴重な機会でもあります。PDFアクセシビリティに関する発表なども興味深かったのですが、数式はやはりTeX表現を使うとか、8点点字による表現とか、色々と情報を得ることができたのが収穫でした。

振り返って日本の状況を考えてみると、多分、中高における数学教育では盲学校さん・視覚特別支援学校さんも含めあまり積極的にコンピュータを使うことがないのではと思います(各生徒個人のコンピュータ環境という意味で)。紙と鉛筆、点字での学習はとても大事ですが、大学に入学して初めてコンピュータで数学教材に触れるとなると、TeXの表現は馴染みがないと思われます。悩ましいところです。

以前、フーリエ変換の教材用ページの数式部分を、TeXで書いていたところ、学生さんに聞いてみると分かりにくいというフィードバックがありました。そこで結局、数式は画像配置にしてAltタグで細かく説明するという方法に変えました。日本語は2バイトコードで「√」「Σ」「∫」などがあり、それなりにスクリーンリーダーでも読みます。晴眼の教員と全盲の学生さんとの間でテキストデータを用いた共通理解がしやすい環境であるともいえます。反面、より高度な数式を扱ったり、学生さん自身が書くという面からはTeXの習得が必須でしょう。高校生が全員数学者を目指すわけではないので(どちらかというととても少数派でしょう)バランスが難しいですね。

さて、DEIMSでは会議終了後、Short Tokyo Tourということで神田明神や明治神宮を歩いて回りました。実は明治神宮に入るのは初めて(多分)で、英語で説明するために色々その場で調べてこれまた勉強になりました…

プログラミング出前講座など

昨年度に引き続きR5年度もプログラミング出前講座を企画させて頂いています。3学期の実施ご希望が多く、1月末より2月中旬にかけて新潟よつば学園様・和歌山盲学校様・群馬盲学校様へ訪問させて頂きました。

新潟では科学へジャンプイン東京でも実施したバーコードワークショップを、和歌山盲さんと群馬盲さんではVBS体験、群馬盲さんの小学部の皆さんにはCodeJumperを体験して頂いたりしました。

CodeJumperは今回、3組同時に走らせるという形態で実施しました。これまでで多分最大数?だったのではないかと思います。最初Bluetooth接続がうまく行かず焦りましたが、なんとか復旧して楽しんで頂けました。

今更ながらyolo8テスト

グラボ付きノートが届いたので遅ればせながらyolo8。昨年度卒研でyolo5を使ってもらっていましたが、今年度はあまり画像認識やっていなかったのでお試しです。個人的にconda環境よりpython.orgの生python入れる派なのですが、意外とすんなり行きました。

  • python.org/downloadから3.11系を落としてインストール。ユーザーローカル、PATH加える、不要なものは入れず。
  • https://pytorch.org/get-started/locally/にて「Stable, Windows, pip, python, CUDA」選択、出てきたコマンドをコピペ入力。
    pip3 install torch torchvision torchaudio –index-url https://download.pytorch.org/whl/cu118
  • pythonインタラクティブモードにて以下のコードで確認。
import torch
x = torch.rand(5, 3)
print(x)
torch.cuda.is_available()
  • git clone https://github.com/ultralytics/ultralytics
  • pip install ultralytic

Webカメラで実行。これもインタラクティブで動く…とりあえず試すだけ、の敷居が異様に低いですね。嬉しいやら恐ろしいやら。

from ultralytics import YOLO

model = YOLO("yolov8n.pt")
results = model(0 , show=True) 
for i in enumerate(results):
    print(i)

しかしいつものbus.jpg、この方たちはultralytic関係者なんでしょうかね。調べたら出てくるのかもしれませんけど。

on cloud nine

あっという間に2024年も8%が終わってしまいました。ハンガリーからの知人を案内したり若者の結婚式に出てみたり、充実していたような、色々詰め込みすぎたような1月でした。

研究では、デフリンピックやオリパラを控えて最近ISeee関連の打ち合わせ・イベントが多くなってきました。デフハンドボール・デフバスケ・ろう自転車など聴覚障害関係のスポーツをメインに、様々なフィールドで試用していく予定です。
また、微力ながら協力させて頂いている佐久間先生・木村先生との歩行関連の共同研究の成果がひとつまとまりました。両先生お疲れ様でした。
学内の共同研究では、鍼灸の志村先生や福島先生のお手伝いをさせて頂いている教材ネットワークの方も、だんだん形になりつつあります。
それからこれまでクラウドサービス系の研究をご一緒させて頂いている鍾先生・森嶋先生・松原先生とは、年明けから新しいものをスタートして実験を進めています。融合知から少し私のフィールドに軸足を移したテーマになりそうです。
肝心の「しゃべるダーツ」の方は陸井君の卒論発表が本日終わり一段落。Deborah先生ご協力のもと、よくまとめてくれました。
その他、多摩美の方の協力案件も進んでいます。

月をまたぐとReviewな2月…が始まりますが、なんとかハッピーな気分で乗り切りたいと願っています。Happyといえば車内で流し聞きしているラジオ英会話、1/18の放送は「幸せに関する表現」でした。その中でI’m on cloud nine、という表現がチラっと出てきたのですがとても印象的で、珍しく記憶に残っています。使える日が来ると良いなぁ。

動画はHappyつながり?…珍しく昼に見えた富士山です。

2023年12月振り返り…

前を向いて行こうと思いつつ、ついつい振り返ってしまいます。

ダーツ実験

12月、倫理審査を通過させて頂いた「(日本語と英語を)しゃべるダーツ」の実験もようやく進められて少し安心しました。頑張って実施してくれた学生さん、参加して下さった皆さん、お手伝い頂いたDeborah先生有難う御座いました。

しゃべるダーツ、イベントに出展すると必ず「全盲の方はどうやって狙うのか」と聞かれていたのですが、ひとまず軽く棒でタップして方向を確認する方法などを試してみています。そして(私自身も)意外だったのですが、少しの練習で皆さん「刺さる」ようになりました。これには本当に驚かされました。

バーコードワークショップ

12月初旬には「科学へジャンプ・イン東京」でバーコードワークショップを実施させてもらいました。貴重な機会を頂きありがとうございました。

そして今回、バーコードの組み合わせを試行錯誤する触覚教材を新たに作ってみました。立体コピーで作った7つの枠に、長方形の磁石で作った異なる幅の「バー」をはめ込む教材です。これを使って:

  • 黒で始まり白で終わる
  • 全体の黒の幅の合計は偶数(1+1、2+2、3+1、1+3)
  • 黒2本で構成されなくてはならない

という条件で組み合わせを考えると10通りできますよ~、ということを理解してもらう仕組みです。

与えられた時間に対して少し内容を欲張ってしまって最後駆け足になってしまいましたが、なんとかこなすことができました。また、参加はできなかったのですが12月中旬の地域版フォーラムにてビデオ報告をさせてもらいました。バーコードワークショップは自分のお気に入りのレパートリーなのですが、改めてまとめる機会を頂けたのは良かったです。

ICCHPじわじわ/CHI’25キックオフ

次回General Chairを担当するICCHPの打ち合わせや、少し先ですがAccessibility担当のCHI2025のキックオフミーティングなどがあり、いつものように英語に苦労しています。努力するしかないのですが、なんとかなりませんかね…

2024: New year’s resolution

早いもので、もうあと数時間で2023年も終わりです。来年は更に雑用や学外仕事が増えると思いますが「計画的&健康的」な生活を心掛けたいと思います。

2023年秋振り返りその2

長くなってしまった秋の振り返りその2です。11月編。

サイトワールドにしゃべるダーツを展示

卒研生&Deborah先生と進めている音声化されたダーツ盤を、サイトワールドの本学ブースで11月1日と2日に展示してもらいました。残念ながら私は現地に行けなかったのですが、Deborah先生や学科の先生方にご対応頂いたおかげで来場者の皆さんにも興味を持ってもらえたようです。触れて頂いた方々、手間をかけて頂いた先生方、ありがとうございました。

筑波大の講演会イベントに参加

11月4日 土曜日、お隣筑波大学の雙峰祭にて「ChatGPT時代の就職、仕事、働き方」という講演会イベントに参加しました。クラウドワークスの吉田社長や人工知能科学センター長の櫻井先生のお話を間近で聞くことができ、とても勉強になりました。私からは本学科の卒業生の就職先実例やどのような環境で仕事をこなしているのかなどについて話しました。

土浦花火大会

同日の夜は土浦の花火大会でした。この花火大会は競技会なので様々な花火業者が競演します。せっかくの機会ということで自転車でDeborah先生と近くまで見に行ったのですが、どうやらカナダ的には「鳥とかWild aminalは驚いたりしないのか」の方が気になるようでした。そんなこと考えたこともなかったので少し反省です。後で知人から聞いたところによるとカナダでは「Fireworksがある!」と聞いて駆けつけてみると数発で終わってしまって日本人としてはかなり物足りないことがあるそうです。

そして今年は1発、空に上がらず落ちてきてしまい、地上で炸裂した事故がありました。「また中止か?」と心配しましたが、無事再開されて良かったです。

都内の私立中学生たちの見学対応

11月17日 金曜日、推薦入試の前日に都内の私立中学からの見学対応をしました。視覚障害者用の支援機器や触覚教材の体験などをしてもらいましたが、点字打刻の体験では短い説明にも関わらずきちんと裏点を理解して、自分の名前や部活についてなど、点字用紙に点筆で打つことを楽しんでいました。中学生の吸収力に感動しました。

東北大でDeborah先生の講演会を実施

ヒューマンインタフェース学会の国際交流企画という形で、Deborah先生のハイブリッド講演会が実現できました。現地参加は理事会メンバーがメインでしたが、東北大の学生さんも参加してくれて良い講演会になったと思います。

プログラミング概論でハノイの塔

この時期プログラミング概論では再帰関数の利用例として「ハノイの塔」を学びます。理解を助けるために3Dプリンタで模型を作って学生たちに渡すのですが、今年の1年生は人数が多いため前週からコツコツ作りためておきました。1セットだいたい1時間半くらいで出力するのですが、連続しては出せないので結構手間はかかります。レジンでの出力バージョンも作ってみましたがやはりFDMの方が手軽ですね。

つくば市観光基本計画の会議に参加

今年度、つくば市の観光基本計画の策定委員を務めています。11月末に第二回の会議がありました。観光課の方々が用意してくださる資料、筑波山周辺の駐車場データやホテル宿泊者の属性データなど、純粋に興味深いものが色々出てきて、勉強させて頂いています。

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